「ネイティブ・アメリカン―叡智の守りびと」スティーブ・ウォール、ハービー・アーデン著
ネイティブ・アメリカン―叡智の守りびと
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10年かけて取材した本という事だけあって、ネイティブ・アメリカンたちの考え方、暮らし方、表情などがよくわかる。 編者まえがきを読んで知ったが、ネイティブ・アメリカンの首長達は彼らの考えを述べる時に英語を使わざるを得ない。 そしてそれが、彼らの事を正しく伝える上で大きな支障になっている。 彼ら独自の言語をそのまま表す言葉が英語にないのだ。
「神」「創造主」などという訳語は本来ネイティブ・アメリカン達が表現していることとは違うのだが、それを的確に表現する言葉が英語になく、これは英語の側の落ち度だと説明があった。 確かに英語、それを訳した日本語を読んでいると誤解されてしまうかもと思う部分もある。 ネイティブ・アメリカンが言う「グレートスピリット」や「神」や「創造主」は人間を超越した存在ではない。 「すべてのものは全体の一部である。」というのが、彼らの哲学の根幹にあるようだ。
人間も大いなるものの一部分であり、全てがつながっている。 全てが等しく重要な存在であり、上下はない。 部族によっていろいろ違いはあるようだが、「人間に全体を支配する権利はなく、人間が大地を所有するのではない。」という考え方は共通しているようだ。 彼らはそれを「思想」や「哲学」と呼ばない。 「常識」という。 惚れ惚れするかっこよさ。