「長生きすりゃいいってもんじゃない」日野原 重明、多胡 輝著
- 「腹八分目」は「満腹」
100歳の現役医師、日野原重明氏が98歳の時に出版された本。 日野原氏が今も元気な秘訣のうちのひとつには、食事をコントロールしていることがあると思う。 「食べるものの量や質を自分の意思で律する」というのは、至難の業だ。
私は、自分の理想体重を30歳のころの体重としています。 それを維持するため、その年齢ごとに摂取カロリーを決めてきました。 (中略) 現在の私の場合、だいたい1日1300キロカロリーと決めています。
私達は、お腹がいっぱいになるのは「腹十分目」、つまり胃が100パーセント満たされた状態だと思っていますが、それは大きな間違いです。 お腹がいっぱいと感じるのは、胃の状態が120パーセントのとき、つまり「腹十二分目」なのです。これは脳と胃とに「お腹いっぱい」を感知する状態の時間差があるためで、胃が満腹していても、脳が感知するのが少し遅れているためにおこります。
日野原氏いわく、本来の意味の腹八分目の食事というのは、「腹六分目」ぐらいなのだそうだ。 そういえば甲田光雄先生も「腹六分目でよろしい。」といっていたような気もする。
実際に食べ始めると、なかなか「六分目」も「八分目」もわからず、つい「十分目」まで食べてしまいがちです。 そこでどの程度が「六分目」かという、自分なりの感覚を覚えておくといいでしょう。 「空腹が消えたな。」と思うあたり、若い人ならば「もう少し食べたい」と思うあたりが「六分目」にあたります。
ちなみに日野原氏の普段の食事は、朝食が牛乳と砂糖を入れないミルクコーヒーを1杯に大豆のレシチンを大匙1杯とかす。それとオリーブオイルを大匙1混ぜた果物ジュース。 昼食は牛乳1杯とクッキーを2、3枚。 夕食はご飯を茶碗半分、脂身のない肉を100グラム、魚と大豆、かなりの量の野菜にオリーブオイルのドレッシングをかける。 仕事に熱中して昼食を抜くことはしょっちゅうあるそうだ。
腹八分目がどれほど良いとわかっていても、それまでの食事が腹十分目だったら急に2割も減らすことは出来ない。 一時的に出来ても必ず反動がきて元に戻る。 以前あるテレビ番組で肥満になってしまった猫の減量方を紹介していた。 それは食事の量を毎月5%ずつ減らすというものだった。 それまで100グラムのエサを食べていたとしたら95グラムにする。見た目にも変わらず、猫も気がつかないほどの差だ。 が、毎月5%ずつ減らし続けた結果、その猫はすっきりとスリムに身軽な猫になっていた。 夜食や間食なども急に止めようと思っても難しい。 少しずつ量を減らす、食べる内容を考えるという習慣をつけていくしかない。