なでしこ オシムの「日本サッカーを日本化」を男より先に実現

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作家で五感生活研究所の山下柚実氏という人の解説(?)に感動した。

日本女子サッカーに「なでしこジャパン」という愛称がつけられたのは2004年。それから短期間で、世界の頂点に上り詰めました。「なでしこジャパン」は公募でつけられたニックネーム。その由来は、日本女性の理想像「大和なでしこ」。私はその「なでしこ」にこそ、今回の大金星の秘密が潜んでいると思うのです。


「なでしこ」という花の語源は、「撫でし子」。撫で撫でしたいほどかわいらしい子ども。そのように可憐な花、という意味です。今回の快進撃は、ズバリ、その「撫で撫で」に秘密があるのです。


ドイツ、スウェーデンアメリカ。相手の体格はいずれもデカかった。決勝戦アメリカ、FW・ワンバグは181センチ。日本の平均身長は164センチ。なんと身長差が20センチ近く。ワンバグの手が、日本選手の頭を撫でてしまうほど。まるで大人と子供です。


日本チームは、自分たちの「劣勢」をはっきりと「自覚」していました。選手も監督も、自分たちが「撫でし子」だということを、はっきり意識していたのです。優勝した時、佐々木監督が「ちっちゃな娘たちがよくやってくれた」とコメントしたように。


しかし、日本は「小さい」という特性を、マイナスではなくプラスに転化したのです。日本女子サッカーにしかない、日本「らしさ」とは何か。小さい。だから小回りが効く。攻守を素早くスイッチ。全員が走り続ける持久力。協調性が高くネットワーク化が得意。そして、“絶対に負けない”、あきらめない精神。そうした特徴を明確に自覚化して、戦術化したのです。


「日本サッカーを日本化する」と語ったのは、かつての日本代表監督、イビチャ・オシムでしたが、それを一早く実現したのは女子チームでした。欧米のチームにとって、日本戦はやりにくかったはず。頭を撫でたくなるくらいちっちゃい相手が、足もとをちょろちょろ動くのですから。世界の有力チームが口を揃えて、「日本と当たりたくない」とコメントしていたのはそのせいです。


身長だけではありません。体力。筋力。そしてサッカー環境。すべての条件において、日本は欧米のチームに「負けて」いた。日本では「最も待遇が良い」といわれるクラブチームでさえ、女子の場合は月給たった10万円前とか。レジ打ち、仲居など副業でなんとか選手を続けている選手も多い。


「強大なるは下にあり、柔弱なるは上にある」という老子の言葉の深い意味を、日本女子サッカーは身をもって示してくれました。


「大和なでしこ」といえば優しくしとやかな女性、というイメージが一般的です。
そして、なでしこの花言葉は「純愛」。しかし、それだけでない。
なでしこの花言葉は「勇敢」「野心」「大胆」と続くのです。
なでしこジャパン」がピッチ上で見せてくれたのは、なでしこの花言葉、すべてでした。


澤選手をはじめ、なでしこジャパンの選手達はほんとうに笑顔がきれい。 日頃の生活は苦しく、自分でお弁当を作ってお金を切り詰める選手もいると聞く。 泥沼に咲く蓮華の花を思い起こす。 


はじけるような笑顔満開のなでしこ達も、これまでの道は長く、辛く、曲がりくねっていたことだろう。 「給料が出るだけでも有難い」という環境で世界一になるまでにどれほど苦闘があったのだろう。 


自分が不遇だと感じる時、運に見放されているように感じる時は、蓮華のように清々しい花を咲かせるチャンスなのかもしれない。 泥沼のような人生だったら、「やった!」と思うべきなのかもしれない − とか考えてしまった。