「橋下徹の言論テクニックを解剖する」

マガジン9"中島岳志の 希望は商店街"より抜粋

多くの人は、橋下氏の言論術に翻弄されています。彼は「ありえない比喩」を駆使し、「前言撤回」を繰り返しながら、人々の心をひきつけて行きます。私たちは、一歩引いたところから、橋下氏の言論戦術を解剖し、冷めた目で客体視する必要があります。


 その時に、非常に参考になる本があります。2005年に出版された『図説・心理戦で絶対に負けない交渉術』(日本文芸社)という本です。これは、さまざまな交渉の場面での実践テクニックを提示したものですが、著者はなんと弁護士時代の橋下氏本人です。橋下氏自身が自分の言論テクニックを披露し、手の内を明かしているのです。


 橋下氏の言論のあり方を分析するには、この本が最も役に立ちます。私たちは、今や日本で最も危険な政治家となった橋下氏の言行を、冷静に解剖する必要があります。以下では、彼の言論を客体化するために、彼自身が提示する「交渉術」を読み解いていきたいと思います。