岩手の少女、天国の母へ涙のトランペット
上の動画は、震災で母親と祖母を亡くした高校生、佐々木瑠璃さんを紹介している。下の動画で彼女のアンコール時の演奏が聴ける。
昨年4月12日の朝日新聞に彼女が自宅跡に立ち、海に向かってトランペットを吹く写真が掲載された。 その写真を見たトランペット奏者の呼びかけで、翌5月の慈善コンサートに招待されることに。 既にご存知の方も多いかも知れないが、私は今回始めてこの動画を見て心から感動した。
瑠璃さんは自分の事よりも両親を亡くした友人を思い、もっと苦労されている方達のためになるならと勇気を出して舞台に立った。 彼女の優しさに涙が出る。
(asahi.comより抜粋)
被災地で演奏する姿が朝日新聞(東京本社発行)に掲載された縁で招待された慈善コンサート「故郷(ふるさと)」。被災地出身のプロの音楽家らが企画した。
制服姿で舞台に立った岩手県立大船渡高校3年の佐々木瑠璃さん(17)は「負けないで」の後に「威風堂々」、そしてアンコールの「故郷」を吹いた。 父の隆道(たかみち)さん(48)、弟の証道(しょうどう)さん(15)も見守った舞台。「故郷」では演奏に聴衆の合唱が加わり、被災地や天国へ届ける歌が会場を包み込んだ。
「負けないで」の演奏中、何度か涙を拭った。舞台を退いた後も鳴りやまぬ拍手に再び壇上に上がると、こらえきれずに顔を覆って号泣した。 演奏後は募金箱を手に会場前に立った。 すっかり涙は引き、笑顔で「お願いします」と呼びかけた。
トランペットは、津波で亡くなった祖母隆子(りゅうこ)さん(75)に、9歳のとき買ってもらった「宝物」。 やはり津波で命を落とした母宜子さん(43)も音楽好きだった。 「こんなに大きなホールで演奏するなんて初めてだし、多分、一生に一度のこと。 しかも、プロの演奏家の方たちに囲まれて……。でも、天国のお母さんやおばあちゃんがそばにいてくれるから心強い」
「悲しくなったら、思い切り泣いていいんだよね」と励まし合う友人たちが「頑張って」と送り出してくれた舞台。「家族を亡くし、家を失い、これからどうやって生きていけばいいかわからない人がたくさんいる。コンサートをきっかけに、少しでも支援の輪が広がったらうれしい」
「亡くなった幼なじみがいる。 両親を失い、転校した友人がいる。 それに比べれば私なんて…。この体験を語り継ぐ責任があるような気がするんです。」 参加を決めたコンサートも、「お母さんたちが用意してくれた舞台なのかも。」
将来は医師になりたいという。「最初は獣医師に憧れたけど、今の目標は救命救急医。 人の命を助ける仕事をめざします」