「甲田式健康道決定版」より

甲田式健康道 決定版―心と体の宿便を出せば、すこやかに長生きできる! (ビタミン文庫)

食べ過ぎ

宿便をいいかえると「毎日のように食べ過ぎをした場合、それらの食べたものを胃腸が完全に処理できなくなり、余分な食べ物が残渣物となって腸管内に渋滞したもの」ということになる。


が、食べ過ぎをしなくても胃腸の処理能力が衰えた場合もやはり宿便が渋滞してくる。どのような場合かというと、
1.心配事が続いた場合 2.睡眠不足が続いた場合(不眠不休の介護が続いたなどの)、3.運動不足が続いたとき、4.水分の摂取量が極端に減ったとき、5.食物繊維の摂取量が減ったとき、6.粉食ばかり食べているとき


上記のような条件が重なったりすると、たちまち胃腸の処理能力が低下して、普段食べているような食事量でも宿便がたまる。 胃腸の処理能力が低下すると食欲もなくなるから、その「からだ」の声にしたがうのがよい。 食事がのどを通らない時は、無理に食べない方がよい。


胃腸の処理能力は個人によってかなり違う。 自分の処理能力が10として、友人Aは13だったり、友人Bは8だったりする。3人が食事量11分を食べたとき、食べ過ぎでないのは友人Aのみになる。 が、自分の処理能力がどの程度かを正しく知ることは難しい、またわかっていても、その量以内に食事を抑えることができる人がきわめて少ない。


1分間に100台の自動車が通行できる高速道路があるとして、1分間に80台の車が通行しているとき、車はスムーズに走ることができる。 が、1分間に150台の車が入ってきたら、50台分の車は渋滞する。 このあとにもどんどん車が入ってきたら、この道路は渋滞で動きが止まる。道路の交通マヒをさばくためには、一時的に「通行止め」か「通行制限」を行うが、これを人間に置き換えると、「断食」か「少食」にして、渋滞している宿便を排泄させるということになる。


「断食」も「少食」もせず、かつ「食べ過ぎ」を続けると腸管は長く伸びたり、横に膨らんだりするが、大腸などは下に垂れさがる。 そうなると安定が悪いために他の腸管や組織などと癒着する。癒着した個所で腸管は引っ張られて少し変形し、内腔が狭くなったり、またねじれてきたりする。 その結果、腸内容物がその個所をスムーズに通過できなくなり、この個所で宿便がたまりやすくなる。


腸管が横に膨らむと、その個所の動き(蠕動運動 ぜんどううんどう=内容物を先に送る動き)が鈍くなる。 腸管が膨らむと腸壁が薄くなるから、その中を流れている血管も圧迫されて、栄養の補給もうまくできなくなる。このように腸管の動きが鈍くなった状態を甲田先生は「腸マヒ」と呼ぶ。


腸マヒがあると、腸内容物を下部の腸管へ輸送することがスムーズにできなくなり、宿便がこの個所にたまってくる。たまった宿便が、腸内細菌の出す酵素で分解される中で発生した有害な毒素は、体内へと多量に吸収されてしまい、これが血液の中へ入り、全身の臓器や組織が汚染される。 この悪循環が、いろいろな病気が出てくる最大の原因となる。