子どものオシッコから放射性セシウムの検出

武田邦彦(中部大学)

かわいそうなことですが、日本の子どものオシッコから放射性セシウムが検出されました。

この問題を正しく判断するポイントは、
1) 検出された量は、世界の水道水の規制のレベルだから、ハッキリした内部被曝をしたことを意味している、
2) 子どもが内部に取り込んだ時期は3月下旬から4月上旬と考えられる、
3) 子どもの体内に入った総量はこの測定では分からず、一過性なら大したことはないが、継続的にでる場合はかなりの量が体内に入ったと考えられる、
4) 測定値が日本からではなく、フランスからであることが残念だ、
5) この件について、文部大臣が「健康に影響はない」と発言したことには何の根拠もない。ただ「安全だ病」にかかっているだけです。


放射性セシウム半減期は30年ですが、体内には成人男子で約3ヶ月ぐらい体に残ります. 子どもの場合、最短で2週間位から出始めます.


この子どものオシッコを採ったのが5月中旬ですから、おそらく4月の体内被曝の分が出たと考えられます. だから、もしこの子どものオシッコをもっと早く採っていれば、高い濃度のセシウムが検出されたと思います。
国は測定値が高い頃に測定するのを控えていたと考えられます. 私は今回の福島原発の事故で、何回か日本人としてのプライドを傷つけられました。


1) 最初の段階で日本の気象庁のデータが出ないので、ドイツの気象庁のデータで風向きを推定した、
2) ソ連は事故の翌日に1100台のバスで住民を大量に非難させたが、日本政府はなにもやらなかった、
3) 福島沖から茨城沖の魚や藻類の放射線のデータをフランス原子力センターの測定値を使った、
4) 今回のオシッコの検査も外国だった。
この機会に文部大臣が反省して欲しかったのですが、逆に内部被曝の時に用いる「預託線量計算」が50年(実質1年)であることを取り上げて、「大したことはない」を繰り返していました。