「新版 ぼくが肉を食べないわけ」ピーター・コックス著

新版 ぼくが肉を食べないわけ
ピーター コックス
築地書館
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著者は長年ベジタリアンとして生活をしてきた。 私の周りにも過去に数人ベジタリアンがいたが、彼らは随分と不便やら我慢やらを強いられていたように思う。 宗教上の理由とかアレルギーなら特定のものを食べなくても対して気にされない。 が、体に悪いとか、環境に悪いとか、動物が可愛そう的な理由から肉を食べない人には、結構冷たい視線や皮肉や嫌味が投げられる。 まるで自分を批判されているように感じるのか、あからさまに気を悪くしたような表情を見せる人もいる。 


この本の著者も、長年肉を食べない事で何かとしんどい思いをしてきたようだ。 「なぜ肉を食べないか」をいろんな角度から説明している。 できるだけ冷静に客観的であろうと努めているのが感じられる。 屠殺の一部始終や、レイプに近い種付けの様子も淡々と書かれている。 それは可哀想とか残酷という言葉で表現できるようなものではない。 この本を読んで肉食が嫌になる人もあらわれるだろう。 が、その気持ちが何年も何十年も続くかとなると難しいだろう。 


個人的な考えだが、肉食は飲酒と似ているような気がする。 体が必要で口にするというより、脳が快感を覚えてしまい、命令するのではないだろうか。 理屈だけで、肉食を止めることは至難の業のように思う。 「肉は旨い」と舌が知っているのだ。 食べた時の快を脳が忘れないのだ。 


私は、肉食は人間にとって(肉以外に食べるものがない場合は別)、「害あって利はなし」の食習慣だと思っている。 が、一度脳が知った快楽を人類が放棄することは不可能だろうか。 肉の消費量を今の半分ぐらいに減らすことは出来ないのだろうか。